WEBでちょい旅 一厘録 ICHIRINROKU

あいくー(福島県)2014.02.25 /zakka

こんにちは、ぼくは「あいくー」。会津木綿でできたテディベアです。とぼけた顔がかわいいって、よくいわれます。えへへ。首のスカーフがオシャレでしょ? ぼくをつくってくれたのは、福島県大熊町出身の庄子ヤウ子さんたち。3年前の地震と原子力発電所の事故で会津若松市に避難してきて、そこでぼくが生まれたんだ。

大熊町へとつながる会津の空

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大熊町は、自然に囲まれたとってもきれいなところで、庄子さんはそこでニットを編むお仕事をしていました。でも2011年3月11日に起きた大きな地震と原発事故で、みんなほかのまちへ避難しなくちゃいけなくなったんだ。
庄子さんはいままでずっとお仕事で人や世の中とつながっていたから、会津若松市の仮設住宅でくらすようになって、急にすることがなくなってつらかったみたい。
そんなとき、被災した人たちのために仕事をつくっているIEE(イー)という会社の谷津拓郎さんと出会って、庄子さんは会津木綿を使った小物づくりを引き受けました。

会津木綿っていうのは福島県に昔からつたわる織物で、丈夫であったかいから昔の人は会津木綿の服を着て畑仕事をしてたけど、今はあんまりつくられてないみたい。庄子さんは同じ大熊町から避難してきたおかあさんたちといっしょに、会津木綿のいすカバーやお財布、コースターをつくるうちに、自分たちでもなにかオリジナルのものをつくりたいって思うようになったんだって。

「帰れないかもしれないふるさとの大熊町と、この会津(會津)は同じ空でつながっている」っていう意味で、自分たちのグループに「會空」と名づけました。
そんなある日、谷津さんのお友達で折出侑さんという人が仮設住宅をたずねてきました。被災した人たちのつくる商品を販売していた折出さんと話し合いながら、「會空」のみんなは、大熊町のマスコットにもなっているクマをグッズにしようって思いついたんだ。それがぼくたち「あいくー」。会津木綿、そして谷津さん、折出さん。いろんな出会いがあって、ぼくたちは生まれたんだね。

ふるさとへの思いを伝えるくまたち

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ぼくはからだが黒いけど、ともだちにはしましま模様がきれいな「しまくま」や「しまくー」もいるよ。福島の「島」と、しま模様の「しま」からとった名前なんだって。会津木綿は黒や紺色だけじゃなくて、カラフルなしま模様も有名なんだよ。もちろんひとつひとつ手づくりだから、みんな顔もスカーフの柄もちがうんだ。ぼくは東京の人に買ってもらったけど、カフェめぐりと甘いものが好きみたいで、お休みの日はあちこち連れてってくれるから楽しいよ。きっとほかのまちにいるぼくの兄弟たちも、いまごろはいろんなことを体験したり、いろんな景色を見たりしてるんだろうなあ。そうそう、パリの見本市に出た子もいるんだって。いいなあ、パリ。ボンジュール トゥ ル モンド!

でも忘れないよ。どこへ行っても、見上げる空は、ぼくや庄子さんたちのふるさと、会津若松市や大熊町につながっているんだ。だからみんないっしょ。さみしくなんかないよ。
ぼくたちが日本中に、世界中に旅立って、たくさんの人たちにかわいがってもらうことで、「ふるさとを忘れたくない。大熊町のことを覚えていてほしい」っていう思いをみんなにつたえられたらいいなあ。

ライター:和泉朋樹

information

會空

住所
福島県会津若松市
TEL
090-9704-9622

DERIOLABO(代表:折出 侑)

WEBサイト
https://deriolabo.stores.jp/
住所
神奈川県横浜市緑区十日市場町1258-5-6-501
TEL
080-3565-2537
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