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伝承野菜スウィーツ(山形県)2014.06.12 /food

「真室川ブランド」というプロジェクトが山形県最北の町でスタートしたのは2008年。モノではなく「真室川町の暮らしそのもの」をブランド化するというこの取り組み、伝統食や行事食の継承だけにとどまらず、地元の老舗菓子店から誕生した「伝承野菜スウィーツ」が真室川ブランドからスピンオフして独立しそうな勢いです。

地元メディアでも話題の人気スウィーツ

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6種類の伝承野菜スウィーツを手がけているのは地元で三代続く菓子店「おかしの平和堂」。店頭販売のみの「黒五葉の枝豆プリン」以外はお店のウェブサイトからお取り寄せできるのですが、甚五右ヱ門芋を使う2種は新芋シーズンしか作らないため、選択肢として残る3アイテムの中から見た目も涼やかな「勘次郎胡瓜のジュレ」をチョイス。

一か八かの要素も加わる今回のお取り寄せ。「もしかしてすっごくキュウリ臭かったら食べられるかなぁ。でも野菜っぽさが無かったら意味ないし。とはいえキュウリキュウリしてるお菓子っておいしいだろうか」と想像を膨らませながら待つこと・・・・待つこと・・・・待つこと2週間以上。「ちゃんと来るのか」と不安になったのを見透かしたかのようにやってきました。

地元メディアで取り上げられることも多い伝承野菜スウィーツは、品薄品切れのことも多いようで、通販の注文に応じるのに少々時間がかかることもあるようです。受け取った段ボールにはなんとも屈託の無いクマ。このクマが正直かわいく、気を揉んだ2週間はクマに脱力させられてチャラに。卑怯なり、平和堂(笑)。

伝える世代と受け継ぐ世代がコラボレーション

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さて、初夏を思わせる休日の午後、しっかり冷やしたジュレを頂きました。控えめな甘さと野菜のうらごし感がほんのり残る爽やかな舌触り。「あれ、きゅうり?」と思わせる香りが一瞬ふわっと鼻先に広がったかと思うとあっという間。つるつるっと喉を通っていってしまいます。

そんな上品な夏のデザートですが、もとはずんぐりとした愛嬌のある姿の勘次郎胡瓜。中は透明感のある黄色、外は淡い黄緑色。青臭みが少なく生食に適しているので、地元ではサラダや浅漬けで食べるそうです。その名は120年ほど前に隣の鮭川村から伝えられた谷地の沢の旧家の屋号に由来しているそうで、現在栽培しているのはその種を受け継いだ奥山イト子さんと、奥山さんが種を譲った10数名だけ。そうした生産者との対話の中からヒントを得て、試作を何度も繰り返して商品化されたという伝承野菜スウィーツは、生産者からも「励みになる」と喜ばれているのだとか。

ところで。。。ジュレと一緒にこっそり頼んだ「音頭ゆべし」も美味でした。創業から半世紀以上続く平和堂の定番で、「音頭最中」(梅を模した形がカワイイ。予算の制約から今回は断念。)とともにやはり真室川ブランド認定品。最中もいずれ是非!

ライター:菊池桂

information

おかしの平和堂

住所
山形県最上郡真室川町大字新町129-5
TEL
0233-62-2762
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